おはようございます。
こども食堂【虎吉】店主・高木のひとりごとです。
今回のテーマは『葬式に行くべきか行かないべきか』。
先日、僕の仲良しの和菓子屋のおっちゃんが亡くなった。
年は79歳。
4、5年前から体調悪い悪いって言っててお店も1年前に引退した。
仕事一筋で生きてきた職人さんだったから緊張の糸が切れたのか、ちょっとずつ元気がなくなっていった。
それでも言葉はハッキリしてたし、お酒も飲んでたしまだまだ元気やーん、とか言ってて、僕がお店を始めたらしょっちゅう行かなアカンなーとか言ってくれてた。
そんな矢先、結局1回も来れず、逝ってしまった。
おっちゃんが亡くなった日のほんの数日前、おばちゃん(奥さん)も脳梗塞で倒れて入院していた。
訃報を知らせてくれたのはお店で働いてた従業員の女性。
お店にはしょっちゅう遊びに行ってたので、顔見知り。
わざわざ自転車かっ飛ばして息を切らせて知らせに来てくれた。
その時におばちゃんが入院してることも知らせてくれて、とりあえず電話はできるってことだったのですぐに電話した。
あまりにも突然の出来事で何をしゃべったかはあんまり覚えてないけど、お通夜も葬式も家族葬でやるからもう行かんでいいよ、と。
おっちゃんおばちゃんとはずっと仲良しだったけど、娘さん3人とは面識がなかったしおばちゃんは入院してるしで、行ったとしても誰も知ってる人がいない。
だからこそおばちゃんは行かんでいいよ、と言ってくれた。
その1ヶ月ほど前、実のばあちゃんが亡くなった。
その時も僕はお葬式には顔を出したけど、ホントに顔を出しただけでばあちゃんの顔をひと目見てそれだけで帰った。
滞在時間わずか5〜10分。
父や母、妹からは葬式ぐらい出て行きーやって言われたけど、そもそも葬式って何のためにするのかがわからなくなってたので断った。
それまでは葬式は出るもんだというのが当たり前みたいに思って、何の疑いもなかった。
でも30歳を超えたあたりからだんだん違和感を感じるようになってきた。
結婚式とかだったら、今からを生きる人たちの門出を祝うためのものだから、式に出席するのはわかるんだけども。
葬式はもう死んでしまった人を送り出すためのもの。
僕が死んだ人の立場だったら、大切な人がひっそりと葬ってくれたらそれでいい。
火葬ぐらいはするんだろうけど、その遺灰は海に返してほしい。
そんなわざわざいろんな人が集まってたいそうなことして送り出してくれなくても、って思っちゃう。
もうしゃべることもできないし。
どうせ会いにくるなら生きて元気な時にきてくれ。
死人に口なし。
近年、家族葬が増えてるのはそういった理由があるんじゃなかろうか。
葬式は、故人は高齢の方が多く、取り巻く方も高齢の方が多い。
中には遠方に住んでる方もいらっしゃるし、足が悪い方も体調がすぐれない方もいらっしゃる。
そんな方々にわざわざ来てもらうのは申し訳ない…って配慮する主催者が増えてきたんだろう。
ただ。
そんな主催側の気持ちとは裏腹に行く側は行かないと申し訳ないとか、周りの目を気にして無理してでも行った方がいいんじゃないだろうか、、、みたいな方もいる。
先日も高齢のお客さんがそんなことを悩んでおられた。
その方は体調が悪いわけではなく、そんなに遠方でもない。
でも僕と同じように葬式に対する価値観が変わって、5年ぐらい前からすべての葬式に行かないようにしているのだとか、
それでも家族や友達など、近しい人が亡くなった時は行ってたそうで、今回亡くなったのは小学校からの同級生。
普通なら行ってたみたいだけど、友達の死に顔をみると自分もそっちに引き込まれてしまうのでは…と、行くのを躊躇っておられた。
僕はそのお友達の方も「そんな思いをしてまでわざわざ来なくてもいいよ」とおっしゃられるのでは?と提案してみたけど、それでもすごく悩んでおられた。
おそらくそんなふうに考える高齢の方は少なくないのだろう。
故人を偲ぶ気持ちは人それぞれ。
僕もばあちゃんのことが大好きだったし、ばあちゃんも僕をすごく可愛がってくれてたのを知ってる。
近年は耳が遠くて会話が成り立たないからもうわざわざ会いに来なくてもいいよ、と言ってた。
そんなばあちゃんに気を使わせるのが申し訳なくてここ何年も会いに行ってなかった。
最後に会ったのは亡くなる2週間ほど前。
もう体がだいぶ弱っていて、施設に入ったばかりだった。
久しぶりに会ったばあちゃんはもう骨と皮じゃないかってぐらいやせ細っていて、僕のことを認知していたかどうかもよくわからないぐらいだった。
まさかその2週間後に亡くなるとは思ってもみなかった。
ばあちゃんは亡くなってしまった。
でも大切なのは葬式に行くことじゃなく、墓参りに行くことでもなく、ばあちゃんの残したものを忘れないように、少しでも多くの人に伝えることなんじゃないかな、と思う。
大変なことだけど、それがいちばんばあちゃんが喜んでくれることなんじゃないかな、と。
ご清聴ありがとうございました。
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