ストーカー被害を防ぐための経験と対策:こども食堂店主のひとりごと

店主のひとりごと

おはようございます。

 

こども食堂【虎吉】店主・高木のひとりごとです。

 

本日のテーマは『ストーカー対策』。

 

僕自身、ストーカーみたいな行為に遭ったことがあるし、虎吉の若女将がストーカー被害に遭って、それ以上被害に遭わないために東京から大阪に移ってきたのを間近で体験した。

 

近年、いや、近年どころか大昔からストーカー被害は深刻な社会問題。

 

警察が動いてくれるようになったのはごくごく最近のこと。

しかも事件にならないと動けないから被害に遭った人は泣き寝入りしたり、精神的に立ち直れなくなったり、人生に多大な影響を及ぼしてる。

 

警察庁のデータによると、令和5年(2023年)のストーカー関連の相談件数は19843件で、年々増加傾向にあるらしい。

 

だけどそれはあくまでも相談件数で、ストーカー被害に遭ってる人の中には怖くて誰にも相談できないっていう人もいる。

それは未知数で、実際はその倍ぐらいストーカー被害に悩んでる人がいるかもしれないし、もっと多いかもしれない。

 

どのみち20000件を下回ることはなさそう。

 

ストーカー行為をするのは、主に元交際相手とか職場の同僚みたいな身近な人。

 

スマホとかSNSがインフラ化して、誰でも気軽に発信ができるようになった現代は、ストーカー行為をやりやすくなったことも年々増加する要因になってるのかもしれない。

 

そんな中。

 

虎吉の若女将・あゆみ氏が受けたストーカー被害は、警察の方がストーカーの中でも「最強クラス」と明言するほどのタチの悪いものだった。

 

詳細はこうだ。

 

およそ14年前。

 

あゆみ氏がMicrosoftのOfficeソフトの技術を習得するための制度を利用した時、たまたまその同じ場所にいた「K」という人物と出会った。

 

出会ったといっても、交際に発展するとかそういった類ではなく、たまたまその場にいたというだけで、仲良さげに会話をしたとかそういうこともない。

 

どっちかっていうと気持ち悪い部類に入ったみたいで、避けていたそう。

 

にも関わらず、Kは執拗にあゆみ氏に近づこうとした。

その都度その都度あゆみ氏はキッパリと断っていたようだ。

 

そこからKのストーカー行為は始まった。

 

SNSのDMでわけのわからないメッセージを送ってきたり、実家の場所を割り当てて物を送り付けたり。

 

それだけでも背筋が凍りそうになるけど、その段階ではまだ命に危険が及ぶというほどのものではなかった。

 

ところがここ1年ぐらいで急激にエスカレート。

 

自宅を特定して自宅をバックに自撮りしてそれを送り付けてきたり。

 

自宅の集合ポストに勝手に自前のロック錠をかけたり。

 

朝方、自宅のベランダに勝手に侵入したり。

 

自宅の玄関のドアの前にわけのわからない呪いの暗号みたいなものをチョークで書かれて、その横に盛り塩がしてあったり。

 

換気扇の排気口に監視カメラを仕掛けたり。

 

職場を特定したり。

 

なぜか上司の名前を知ってて、職場に電話してその上司の名前を出して会社に殴り込みに行くという脅迫をしたり。

 

性的接触があったと主張するポエムのようなものが送られてきたり。

 

ストーカー行為の項目をすべて網羅した。

 

さすがにここまでくると命が危ない。

 

もはや何をしてくるかわからないので、すぐに警察に通報した。

 

証拠はすべて揃っているので、警察の方もすぐに動いてくれて、即逮捕という運びになった。

 

逮捕までの期間、何が起こるかわからないし、何をしてくるかの予測もつかないので、職場にも相談して虎吉に緊急避難して、その間リモートでの業務をすることを許可してもらった。

 

その動きはホントに迅速で、職場までパトカーで護送してくれたり、新幹線に乗るのを見届けてくれたりと、ストーカーではなかなか動かないと思ってた警察のイメージがひっくり返った。

 

そして緊急避難の間、逮捕するための調書を取るのに、警視庁の方々がわざわざ大阪の虎吉まで来た。

 

そのことが近年のストーカー被害の壮絶さを物語ってるのかもしれない。

 

そしてあゆみ氏が大阪に滞在してる間にKは逮捕された。

 

とりあえず警察に身柄は拘束されてるから、一時的に命が危険に晒されることはなくなった。

 

ただ、問題はここからだった。

 

ストーカー行為の罪はまだまだ軽い。

 

実際に逮捕に至ったケースでも、その後の被害者の安全が確保されることはまれ。

 

実刑判決が出たとしても、執行猶予が付いてたりして犯人はいわばすぐに自由の身になれる。

 

執行猶予中にまたストーカー行為をすれば即実刑にはなるけど、何年か服役すればまた出てくるので、被害者に安息はおとずれない。

 

…と、ここまでは一般的なストーカー被害。

 

Kが警察の方に「最強クラス」と言わしめたのは、Kが統合失調症であるという事実だった。

 

あゆみ氏が出会った時、すでに統合失調症の診断を下されてたKは、「おれは統合失調症だから生活保護でお金は入ってくるし罪を犯しても無罪放免で釈放されるから最強なんだイェーイ」とか言ってたやべーやつ。

 

実際、Kはストーカー行為で逮捕されて検察庁に送検されても罪に問われることはなく、精神鑑定をするために「措置入院」ということになった。

 

措置入院は長くても2ヶ月で退院するので、その後は自由の身になってしまう。

 

それはつまりストーカー行為がなかった事になってしまうってことだ。

 

統合失調症患者は精神疾患の中でも責任能力がないと判断されることが多くて、罪に問われることがまれなもの。

 

Kはそれを利用してこれまでにいくつもの犯罪を犯していて、その都度「無罪」とか「不起訴」でやりたい放題。

 

かなりやべーやつだ。

どのくらいやべーやつなのかというと、先ほど挙げたことの他にも、あゆみ氏が甥っ子の写真をSNSに投稿したものを、自分とあゆみ氏との間にできた子だという妄想を暴走させるぐらい。

 

Kの中ではあゆみ氏は妻だという解釈をしていて、「妻と子を守るのはおれの使命だ」という発言を警察でも検察でも繰り返ししていたとのこと。

 

警察に捕まった時も、検察に送られた時も、暴れ狂って大変なことになっていたらしい。

 

Kが自由の身になるということ、その後さらにストーカー行為がエスカレートしていくという懸念から、あゆみ氏は自宅のある東京近辺で生活することは難しくなった。

 

事態がこうなるともはやいつ命を狙われてもおかしくない。

 

仮に自宅を引越ししても、職場が特定されてしまってるから、そこからつきまとえばまたすぐに自宅を割り当てられて同じことの繰り返しになる。

 

逮捕されてもまたすぐに自由の身になってしまうから、その都度職場を変えたり引越しをするってなると、あゆみ氏の精神にも身体的にもかなり負担がかかる。

 

なぜ被害者がそんな思いをしなければならないのか。

 

その点については警察の方も「現状、我々の力ではどうすることもできないんです」とかなり憤りを滲ませていた。

 

警察は法律に基づいて罪を犯した人を逮捕するのがお仕事。

 

あくまでも法の下でしか動くことができない。

 

ストーカー行為に対する刑罰はまだまだ軽いのが現状だから、それ以上介入することは非常に難しい。

 

それは理解できる。

 

だからそんなふうに言ってくれるだけでも、そういう気持ちがあるだけでも被害者は少し救われる気がする。

 

アタマから態度が横柄な警察が多い中、そういう点では人に恵まれたとあゆみ氏は言っていた。

 

そんな中、あゆみ氏の懸念は職場をどうするかということだった。

 

Kがまたすぐに出てきたらまたすぐに自宅を特定されてしまう。

自宅を別の場所に移しても同じことの繰り返し。

 

それならば、と僕は「じゃあいっそのこと大阪に移ったら?」と提案した。

 

仮にKが大阪にいることを特定したとしても、虎吉に居れば身の安全は確保できる。

 

問題は仕事をどうするか。

 

逮捕前に緊急避難した時にリモートで業務をできてたから、いっそのことずっとリモートで仕事をする方向に切り替えたらいいのでは?という話になって、さっそく職場に相談した。

 

すると、職場からは意外な返答がきた。

 

「ストーカーは逮捕されたんだからもう安全ですよね?」と。

「それなら別にリモートじゃなくて出社して業務をしてください」と。

「みんなリモートでやりたがってる中、あゆみ氏だけを特別扱いすることはできない」と。

 

????

 

緊急避難中、フルリモートで仕事してても何も差支えがなかったのに?

 

現状、Kから命を狙われる懸念があることを説明してもけんもほろろで、まったく意見を聞いてくれなかった、と。

 

そんな会社辞めちまえ。

 

警察の方もそこはハテナ全開だったようで、「アホなんですかね?」と苦笑いしていた。

 

とゆーわけで。

 

あゆみ氏は東京から大阪に居住を移して虎吉で働くということになった。

 

そうすれば仮にKが来ても安心だ。

 

ストーカーは現行の法律ではどうすることもできない。

 

だけど、ひとりで悩んでてもどうにもならない。

 

まわりの人に相談するのがいちばんベストだけど、肝心なのはそのまわりの人がどれだけ理解できるか。

 

ストーカーはされたことがない人からすると、そんなに大したことがないようにみえる。

 

そして「ストーカーされたのはあなたがそう思わせることをしたんじゃないか?」というようなことを言われてしまう傾向がある。

 

ストーカー行為をする人間の頭の中なんて理解不能なんだから、面識がなくても、接触がなくても、勝手に自分の中だけで妄想を膨らませて行為に及ぶことなんかいくらでもある。

 

ストーカーの怖さは実際に味わった人にしかわからないところがあるのがいちばん危険だ。

 

実際あゆみ氏も前の職場でもそのようなことを

言われたし、虎吉でもお客さんに同じことを言われてる。

 

もう一度言う。

 

ストーカーをするようなやつは接触がなくても、面識がなくても自分の中だけで妄想を膨らませて、勝手に思い込んでストーカー行為をする。

 

「ストーカーされるようなことをしたんじゃないか?」

 

この言葉はもはや暴力に値する。

ストーカー被害に遭ったことがあるのか?

遭ってみろ…?

 

二度とそんなこと言えなくなる。

 

ストーカーから身を守るためには、法律とか警察とかでは頼りにならないのも事実。

 

接近禁止命令とかが出ることはある。

 

それを破った時点で即逮捕にはなるんだけど、仮に接近禁止命令が出ても、それが有効になるのは警察に通報してからだ。

 

警察が来る前に殺意を持って近づいてきたとしたら?

 

それを防ぐことは不可能に近い。

 

そしてそれを予測することも難しいし、そういう可能性も大いにあるということを理解しないといけない。

 

そんな状態では警察とか法律で守ることはできない。

 

対策を立てるとしたら、犯人の性格とか、どんな人間なのかを分析して、どういう行動に出るかを予測すること。

 

そしてその予測の上で被害者側が何をできるかを検討する。

 

向こうは外法で攻めてくるから、こちらが正攻法では到底太刀打ちできない。

 

外法には外法を。

 

いちばん大事なのは命を守ること。

 

やつらはいつどこで狙ってるかわからない。

 

ご清聴ありがとうございました。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました