おはようございます。
ラッパーになりたい中学生「ZIPPO」を大人が全力で応援する企画。
前回の続きです。
ZIPPO本人のやる気とかポテンシャルみたいなものを確認した僕は、じゃあ次は「自分はどうするか?」を考えないといけません。
僕自身、音楽に長い間携わってはいますが、HIPHOPは19歳ぐらいの時に少しだけかじったことがある程度で、ほとんど未知の世界です。
作曲の仕事もしましたが、HIPHOPは未経験。
ほとんど聴いたことのないジャンルです。
でもその点、ZIPPOはHIPHOPをたくさん知ってる。
なんとかなるかー…いや、むしろ未知の世界なのでワクワクしてきました。
ZIPPOはそれ以来、リリック(歌詞)を書きまくっていました。
こんなんやりたい、とか、こんな曲作りたい、とか、いろいろ案を出してきてもくれます。
僕は僕で、見よう見まねでHIPHOPっぽい曲を作ってみたり、HIPHOPの歴史を勉強したりと、人生で初めての経験をさせてもらいました。
ZIPPOがいなかったらここまで深くHIPHOPに関わることはなかったかもしれません。
僕はZIPPOからHIPHOPのことはたくさん聞いたので、なんとなくは理解できました。
が。
一緒に作るってなるともっと深い所まで理解してないとダメだなーと思ったので、HIPHOPについていろいろ勉強しました。
HIPHOPは音楽のジャンルではなく、文化なんだということ。
その文化が生まれたのは1970年頃でまだまだ新しいものだということ。
黒人差別社会に対する反骨のエネルギーから生まれたものだということ。
差別はかなり根深いもので、僕なんかが軽々しく口にしていいものではないので想像もつきませんが、ゲトーと呼ばれる貧困街やスラム街の人たちがギャングの抗争や犯罪に使ってたエネルギーを音楽やダンス、グラフィティに使う更生プログラムとして使った結果、生まれたのがHIPHOPという文化です。
そうかー。
そんな深い根源があったなんて勉強しなかったら絶対知りえなかった。
そういう意味でいうと日本のHIPHOPってあまりにも軽いものが多くないか?って思ってしまったり…。
いやいや…。
まだまだ僕が日本のHIPHOPを知らないだけなんじゃないか?とか思ったり。
まだまだ僕はHIPHOPの「うわべ」だけを知ったに過ぎない。
もっと勉強しないと。
そんな表層の部分しか知らない僕でも、ZIPPOはHIPHOPの精神を持っているなーと感じます。
反骨心だらけ。
家、学校、社会。
自由になりたくて反発して、ヤンチャくれな行動ばかりとっていました。
よくそういうのはかまってほしいからとか言いますが、じゃあゲトーの人たちはただただかまってほしかっただけなのか?っていうとそうじゃないと思います。
もっと根深い。
彼らは同じ人間として接したかっただけ。
でも皮膚の色が違ったり生まれたところが違ったりするだけでひどい扱いを受けた。
それはもはやかまってほしいとかそんなレベルの話じゃありません。
同じ人間なのにどうして分かり合えないんだ?
っていう寂しい気持ちの表れなんじゃないかと思うのです。
ZIPPOも同じ。
彼は自由に生きたいだけ。
でも親や彼のまわりの大人たちは学校に行くことがすべてだと言います。
たしかに今の日本の法律では親はこどもに教育を受けさせる義務がある。
でも学校だけが教育なのか?
じゃあその学校でイジメを受けたこどもはどうなるのか。
そしてそのイジメのことは親は気づいていない。
むしろこどもは心配をかけまいと隠そうとします。
でもサインは出します。
学校に行きたくない、と主張します。
でもホントの理由は言えないので適当なことウソをつきます。
たいていの親はこどもが何の理由もなく行きたくないと言えば「行きなさい」と言います。
いちばん近くで接してる親が、いちばんの理解者であるはずの親がそんな状態だと、本当のことを言いたくても言えません。
そうしてこどもは逃げ場を失ってどんどん精神的に追い詰められていきます。
最悪の場合、自ら命を断ちます。
そんな事例が日本中あちらこちらにあります。
それでも学校がすべてなのか?
もっと多様性があってもいいんじゃないか?
今の義務教育はかなり時代遅れです。
そんな勉強して社会で何の役に立つの?というものばかり。
いまだに「スイミー」とか「ごんぎつね」とかやってるし。笑
僕はそんな学校の教育は時間のムダとしか思えません。
もっと社会に出た時に役に立つことを学ばせた方がいい。
この話は長くなるのでまた別で。
ZIPPOはイジメを受けてるわけではありませんが、学校が退屈でしかたありません。
それでも親や学校は学校に行きなさいと言います。
だから反発していました。
反発してヤンチャくれな行動をとっていました。
でもそれだと関係ない他の人を傷つけてしまったり、いろんなリスクが伴います。
そしてそれは自分が受けてる理不尽なものと同じ。
それはカッコ悪いからやめた方がいい、と伝えました。
そのエネルギーを音楽に向ければいいじゃないか、と。
その言葉に納得したのかどうなのかはわかりませんが、それから彼は本気で取り組むようになった気がしています。
次回へ続く。
ご清聴ありがとうございました。
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