おはようございます。
こども食堂【虎吉】店主・高木です。
虎吉はこども食堂と居酒屋を併設したお店です。
このお店をやろうと思った経緯、背景についてマジメにお話します。
このお店のコンセプトはキレイにな言葉でいうと「人と人が繋がる場所」です。
言葉を選ばずにいうと「昔の駄菓子屋さんのような場所」。
こどもたちがいつの間にか集まって、店主のおばあちゃんとしゃべりにきてるような。
お金がなかったりすると「今日はもうええよ」とか言って食べさせてくれたり。
僕やその世代の大人が幼少期に毎日通いたくなった、懐かしく感じるような場所です。
小さい頃、僕は「末成町」という、阪急小林(おばやし)という宝塚市にある場所で生まれ育ちました。
そこは下町人情あふれる場所で、近所のこどもも大人も含めてみんなが家族のような温かさを感じる場所でした。
少なくとも幼い頃の僕はそう感じていました。
近所の知らないおじさんやおばさんにあいさつをしたり、怒られたりするのは当たり前。
時には殴られることも。
それを親に言ったとしても「アンタが悪い」と一蹴されていました。
現代では考えられないことです。
今ならヘタしたら警察沙汰にまで発展するんじゃないかっていうぐらい大問題です。
いろんなメディアで叩かれて病んでしまうでしょう。
でも当時はそんな場所だからこそ、家族のような繋がりを感じてたんだと思います。
僕は虫や魚を追いかけ回したり、台風の日に川に魚を取りに行ったり、やりたい放題して遊んでいました。#さすがに台風は母親にこっぴどく叱られた
すごく明るくて「だいちゃん、だいちゃん」とみんなから慕われていて、人懐っこいこどもだったんだと思います。
しかし、転校を繰り返し、知らない人ばっかりの土地で過ごすうちに僕の心はどんどん荒んでいきました。
宝塚にいた頃のような人の温かさを感じることはほぼ皆無で、人を信じることができなくなっていきました。
友達はおろか、親や妹たちにすら壁を作っていて、誰にも本音を言うことができず、孤独を感じていました。
その頃の僕だったら毎日通いたくなるかなー、とか、そんなことを考えながら日々こどもたちと接しています。
僕がこどもの頃、「虎吉」のようなお店があったらどれだけ救われただろう、と。
こんな大人がいたらどれだけ心が安らいだことだろう、と。
それが大元のコンセプトです。
僕のように心を閉ざしてしまったこどもはどの時代にもいると思います。
むしろ近代になればなるほど増えていってる感じ。
そんな子がひとりでもフラフラ〜っと来ることができて、落ち着いて過ごせる場所になればいいなと思っています。
事実、何人かはそんな子がいてます。
基本的にこどもたちは二人以上でくることがほとんどですが、僕と仲良くなった子はひとりでも来てくれるようになります。
しょっちゅうお店に遊びに来て、ごはんを食べてゲームをしたりテレビでYouTubeをみたり、時には宿題をしたりして、ホントに自由に過ごしてくれています。
なんなら勝手に厨房でオリジナル料理作り出す始末。#自分の家かよ
彼らが僕と同じように孤独を感じてるかどうかは知りませんが、少なくとも彼らにとって居心地のいい場所にはなってるんだろうな、というのは肌で感じとれます。
僕自身、幼少期に閉ざした心が開いたのは、その時から20年以上経ったつい最近の話です。
今、虎吉に通ってる彼らには、僕のようになってほしくない。
この世界はくだらないもののようにも見えます。
事実、そんなふうに言っている人はたくさんいるし、僕もそんなふうに思ってた時期もある。
近年その傾向がますます強くなってる気がする。
そして虎吉に来てるこどもたちもどこかでそんな空気を肌で感じていて、将来に希望なんか持てない、といった空気感を漂わせています。
でも。
少なくとも今、僕の目にはこの世界はとても素晴らしいものに見えています。
つまりは捉え方次第なのです。
くだらない、と思ってしまえばそれ以上のものにはならないけど、心に余裕を持って良いところを探せばいくらでも見つかります。
問題はその「心」に余裕があるかどうか。
人は、環境次第で余裕を持てたり持てなかったりします。
環境とはつまり人、人間関係です。
場所とか設備とか、他にもいろんな要素がありますが、割合のほとんどを占めてるのは「人」です。
ステキな人がいればそのステキな人の影響を受けてステキな人になりやすいし、逆もしかり。
一日24時間の中でいろんな人間関係があります。
家にいれば親や兄弟がいるし、職場には上司、先輩、後輩、同期がいます。
学校には先生や友達がいます。
その中には恋人もいるかもしれない。
行きつけのお店なんかがあればそのご主人、お客さんもいるでしょう。
いろんな人の影響で心の有り様は変わってきます。
こどもたちの人間関係のひとつに「虎吉」があって、ここは自分を出せる、っていう場所になればいいなと思っています。
そんな、自分の素を出せる場所がひとつでもあれば人の未来は大きく変わる。
人と人との距離が近いようで遠い現代社会。
かつての日本のような、心が豊かな人たちで世の中があふれたらいいなと思っていて、虎吉がそのキッカケになれるよう、精進していきます。
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